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前回「ゾウは鏡に映った像を自分だと認識できる」と書きました。今日は引き続き「子どもの自己認識の形成」についてお話したいと思います。

鏡に映った像を自分だと理解する能力=自己認識能力は経験を通じて学習されるものです。つまり乳児などの段階では自分が存在すること、同時に他者も同じように存在するということ、を理解することはできないことになります。
ではどのようにして自己認識は形成されるのでしょうか。

自己認識ができる生物は大型の霊長類、イルカ、ゾウなどごく一部に限られています。
そこで今回は動物による実験をご紹介したいと思います。

チンパンジーに鏡を与えて3、4日もすると、鏡の中の像に対して他の個体への態度=社会的反応ではなく、自分自身への反応を示すようになります。
そこで心理学者が実験を行いました。

1)鏡に慣れさせたチンパンジーを麻酔で眠らせ、無味無臭、触っても判らない特殊な赤い塗料を顔に塗りたくる
くまどり
くまどり
こんな感じでしょうか

2)目を覚ましたくまどりチンパンジーに鏡を見せると、鏡の中の自分ではなく、ほんものの自分の顔の赤い部分に手を伸ばして、なんとか赤い部分を消そうとする

3)生まれたときから他の個体と完全に隔離されて育てられたチンパンジーに対して同じ実験を行うと、自分の顔を確認する反応は見られない

ここから、霊長類の中で最も人間に近いとされるチンパンジーにおいて、自己認識は他者の存在を前提として形成されるものであることがわかります。

続きます
>>自己認識 2
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前回の記事
>>自己認識

自己認識を確立するためには他者の存在が前提となっていることがわかりました。さらにもう1つ大事なものがあります。
それが体の触れ合い=スキンシップです。
ここからがもう1つの実験です。

1)生まれてすぐ他の個体と隔離された1歳半前後の幼いチンパンジー3匹を2つの檻に入れる

2)2匹は同じ檻の中なのでじゃれあったり取っ組み合いをしたりして成長=他者との触れ合い

3)残りの1匹はその2匹を見れる場所に置く=視覚では認識しても触れ合いなし

4)1ヵ月後、それぞれ鏡に慣れさせた上で前回の「顔に赤い塗料」の実験を行う

その結果、2匹一緒に育てられたチンパンジーは他の個体と同じように自分の顔を触るなどの自己認識の反応を示しました。しかし、1匹だけで育ったチンパンジーはまったく自己認識の反応を示しませんでした。

ここから、鏡の中の自分を自分だと理解する能力を形成するためには、視覚などによる社会的交流だけではなく、直接的な体の触れ合いが必要であることがわかります。
裏を返せば、スキンシップが不十分なまま育てられた子どもは、自分に対するしっかりした認識を確立することができない、ということになります。

この結果は、「自分の腕をつまんでみることと、他人の腕をつまんでみることの差」に由来します。子どもは互いに触れることのできる位置にいる他人の存在を通して、自分と他人との間にある絶対的な壁を理解するのです。

自分に対する認識の根底には「自分に対する身体感覚」があります。ただ見えるだけの手と、感じることのできる手。それら両方を通じて自分と他人との境界に対する認識を固めてから初めて、鏡を覗き込んだときにそこに写る像を自分だと理解することができるようになります。

小さなお子さんをお持ちの方。少しでも参考にしていただけたら幸いです。

今回2つの実験はともに動物による実験でした。
次は人の幼児期における自己認識の形成についてご紹介したいと思います。
参照:>>心の理論

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関連項目:
>>A10神経
>>ゾウ
>>シュレディンガーの猫
>>考える人
>>モンティ・ホール問題
>>大きすぎて絶対に書き表せない数
>>共感覚
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