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寒い日が続くようになってきました。
いよいよ本格的に冬が始まるといった感じです。

二十四節季で冬は立冬(11月7日ごろ)から立春(2月4日ごろ)の前日までとされています。
冬の間の節季は立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒と移ってゆきます。

この記事を書いている11月22日からはいよいよ小雪が始まります。
「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」の立冬から、「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」の小雪へ(『暦便覧』)。暦の上でも本格的な寒さが始まるようです。

二十四節季をさらに細かく分ける七十二候で立冬の期間を見ると、

初候 「山茶始開(つばき はじめて ひらく)」
    「水始氷(みず はじめて こおる)」
次候 「地始凍(ち はじめて こおる)」
末候 「金盞香(きんせんか さく)」
    「野鶏入水為蜃(やけい みずにいり おおはまぐりと なる)」

上が日本の略本暦、下が中国の宣明暦です。季節ごとに変化する気象や動植物の行動を表しています。古の人々が自らの生活と密接な関係を持つ自然を、つぶさに観察していたことがわかります。

金盞香=水仙の花が咲く
水仙
参照:>>水の器
    >>卯の花くたし

中でもおもしろいのが「野鶏入水為蜃=雉が海に入って大ハマグリになる」です。
10月8日ごろを表す七十二候・寒露にも「雀入大水為蛤=雀が海に入ってハマグリになる」という言葉が登場します。

これらは実際に起こる事柄を表しているのではなく、「秋の終わりごろになると雀たちが群れを成して海にやってくる。蛤が雀の化身だからだ」という中国の古い言い伝えを基にしています。
意味としては「あれだけたくさんいた雀たちを見かけなくなるのは、寒さを逃れた雀たちが海に入って蛤になっているからではなかろうか」というステキなユーモアです。雀と蛤の模様が似ていることも一役買っているのでしょう。

 蛤とならざるをいたみ菊の露  夏目漱石

(句意)秋のある日、雀の死骸が草むらに落ちていた。蛤になれなかったこの子のために、せめて白い菊の下に埋めてあげよう。

冷え込みが始まる時期にふとした暖かさを感じさせてくれます。

続きます
>>雀入大水為蛤 2
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前回の記事
>>雀入大水為蛤

小雪を七十二候で見ると、

初候 「虹蔵不見(にじ かくれて みえず)」
次候 「朔風払葉(きたかぜ このはを はらう)」
    「天気上勝地気下降(てんき じょうとうし ちき かこうす)」
末候 「橘始黄(たちばな はじめて きばむ)」
    「閉塞而成冬(へいそくして ふゆをなす)」

雪いまだ大ならずも、冷え込みが本格化。北風が木の葉を散らし、天地の寒暖が逆になるこの時期には空に陽気もなくなり、虹もあまり見かけなくなる。やがて天地の気が塞がって冬になる。

そんな中でたまに見れる虹はことさら美しい。

 冬の虹うつすらとでもありありと  市川七葉

冬は本来空気の澄む時期であり、空気の層の温度差から星が綺麗に見える時期でもあります。逆に乾燥しているためチリが舞い上げられてしまうこともあるそうですが、何よりも雪が私達を楽しませてくれます。

 ふらずんば空だのめとやうらむべき雪こんこんと人にまたせて  石田未得

そんな冬は寒いので苦手だという方。寒さの中にも暖かさを。

 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ  俵万智

大好きな歌です。以前付き合っていた人が教えてくれました。


今年の寒さは例年並みという予想ですが、夏の間の猛暑と去年の暖冬の記憶が新しいうちは新鮮な寒さが身にこたえるかもしれません。冬の間は卒業論文の作成に忙しくなるので更新が遅くなると思います。
皆様くれぐれも体調にだけは気をつけてください。


↓気に入った歌があったら↓
e_02.gif 


雀

追記:昔の人たちは雀が蛤になるという表現をとても気に入ったらしく、今でも「雀蛤になる」が俳句の季語として残っています。

 蛤や少し雀のこゑを出す  森澄雄
 蛤になるべく雀砂浴びす  上野一孝

類義語として「蕪は鶉となり山芋は鰻となる(山の芋鰻になる)」があります。
雀が蛤になったり山芋が鰻になる=ありえないことの例えです。
でも発想が好きです。

関連項目:
>>トゲアリトゲナシトゲトゲ
>>世界一脚の数が多い生き物
>>猫のオスカーのある一日
>>脚のない鳥
>>ゾウを冷蔵庫に入れる方法
>>暑い話
>>梅雨
>>水の器
>>卯の花くたし
>>空に向かって落ちる雷
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