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アブダビ投資庁巨額の資産を運用する政府系投資ファンドの動きに対して、規制を行う議論が交わされています。
中でもアラブ首長国連邦のドバイ取引所が自国のナスダック株式市場の筆頭株主となったアメリカでは反発が強まっています。世界第4位の上場企業の時価総額(468兆円)を誇る経済の中心部を抑えられることに対しての危機感が表面化したのです。
「政府系投資ファンドの活動は利益の追求だけでなく、政治的な影響力も狙っている」
という意見が先進国首脳からも聞かれるようになりました。
しかし、
市場原理主義が横行するこのご時勢ではお金があれば影響力を買うことも出来ます。
最近の動きを少し見るだけでも.....
・サウジアラビア基礎産業公社による米GEプラスチック部門の買収
・ドバイ・インターナショナル・キャピタルによる欧州航空防衛最大手EADSへの出資
・AEU系ムバダラ・デベロップメントによる米投資ファンド大手・カーライルの株取得......etc
米高級衣料品店バーニーズ・ニューヨークを巡って日本のユニクロ(ファーストリテイリング)とドバイ政府系イスティスマールが争奪戦を繰り広げたのも記憶に新しい出来事です。
巨額の資金が動く一方、その実態には依然として不明瞭な点が付きまとっています。
アブダビ投資庁の場合、現在日本へは合計4兆5000億円ほどの投資を行っているといいます。大部分がポートフォリオ投資とされてはいますが、はっきりしたことは誰にもわかりません。
今回アブダビ投資庁はシティグループに対して8000億円ほどの融資を行うことになりました。
(08/1/30追記:アブダビ投資庁は追加融資を発表し、総額は1兆円超になる見込みです)
市場にも安心感が広がって株価の下落に歯止めがかかると思われます。日本円の上昇基調は少なくとも今のところ消えたように見え、日本株への投資も戻ってくるかもしれません。
資金を最も配当の高いところに投資することは経済原理にかなったことです。その仲介をする投資会社も必要でしょう。
しかし、まるで規制緩和=投資推奨が唯一の道であるかのような空気は好きではありません。
いままでその国(日本)が育て、その国(日本)を育ててきた企業を金の力だけで買い取り、不労所得を得ようとする、またそれに振り回されることには感情的に納得しがたいものがあります。たとえそれが最も尊い経済活動のひとつであっても、です。
資本主義の成熟度合いから見れば、日本よりもイギリスやアメリカのほうが進んでいるといえるでしょう。産業国家として立ち行かなくなった国が金融資本輸出国家に転身することは自然な成り行きです。しかし現在の日本の状況はただアメリカの真似をすればいい、という態度に見えてならないのです。現在日本政府が行おうとしている政策は20年ほど前のイギリスやアメリカで見たことがある、という方もおられるのではないでしょうか。
私のような意見を持つ人も少なからずいることでしょう。現在日本においてマネーゲームとして捉えられているM&Aや投資買収合戦が、シビアに経済理論に基づいた行動として認識されるにはまだ少し時間がかかるかもしれません。
↓100兆円を一万円札で積むと100万cm=1万m=10km=既に札束じゃない↓

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