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■問題
あなたの前にはお金の入った2つの封筒がある。
金額は明かされていないが、片方の封筒にはもう一方の2倍の金額が入っている。
いまあなたが一方の封筒を開けてみたところ、中には100ドルが入っていた。
ここであなたはそのまま最初に選んだ封筒をもらうか、もう一方に換えるかを選択することが出来る。
あなたはどのように行動するべきだろうか。


以前のモンティ・ホールのディレンマと似たような問題です。
あなたは新しい封筒をもらいますか?それとも自分の最初の選択を信じますか?
この問いがパラドックスだといわれていることに注意しながら考えることも重要かもしれません。



↓ここまでの問題の考え方↓



最初の封筒(A)に入っている金額は100ドルなので、もう一方(B)には50ドルか200ドルが入っていることになります。それぞれA、Bを選んだ際の期待値を計算してみると、

E(A)=100
E(B)=50×0.5+200×0.5=125

となり、Bを選んだほうが=選択を変更したほうが得ということがわかります。

しかし、ここで素直な疑問が浮かびます。
あなたは最初にAを選び、Bに選択を変更したところ期待値は1.25倍になりました。でも逆に、あなた(あるいはあなたの友人でもいい)が最初からBを選んでいた場合、BからAに選択を変えることでもやはり期待値は1.25倍になってしまいます。両者とも期待値が増えるということはあるのでしょうか。

もう少し問題を一般化して考えてみましょう。

■問題
2つの封筒に入っている金額比は1:2。
あなたは選んだ封筒の中身をまだ見ていない。
交換したほうがいいだろうか。


入っている金額をそれぞれX、2Xとすると、最初の選択から変更した場合の期待値は、

E(C)=(1/2X)×0.5+(2X)×0.5=1.25X
つまり交換したほうが得。

ここには明らかに疑問をさしはさむ余地があるように思われます。
すなわちどちらかを選択する前から、封筒を交換するほうが得だという結論が出ていることになってしまうわけです。
両方の封筒には最初から何の差もないわけで、ただじっとしているだけの2つの封筒の期待値が、観察者の行う主観的な判断と選択によって変化してしまうのです。

こんな錬金術みたいな話があるのでしょうか。

続きます
>>封筒のパラドックス 2


参照:経済学的思考
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前回の記事:封筒のパラドックス

中身を確かめずに、ただ交換するだけでもらえる金額が1.25倍になるという封筒のパラドックス。一見ちゃんとした手続きを踏んだ上での計算に見えるのに、一体どこに欺瞞が潜んでいるのでしょうか。

順を追って考えていくと、この問題の構成自体が回答者を誤った方向に誘導するように出来ていることがわかります。

最初の問題では封筒の中身が100ドルでした。
もう一方の封筒の期待値が125ドルになることには何の問題もありません。

続いて中身を見ずに交換しても期待値が1.25倍になるという第二の問題。
実は、これも正しい。ただし今回の場合、期待値が1.25倍になるということは、実際にもらえる金額には何の影響も与えません。交換を繰り返すだけで1.25倍ずつ増えていくという錬金術は実現しないのです。

期待値は増えるのに、そのことが実際にもらえる金額には影響がないというパラドックスは、もらえる金額に上限がないという点に原因があります。以下その点に注目して考えてみます。


■もらえる金額に上限がある場合
2つの封筒には0よりも大きな実数(R、2R)が書かれた紙が入っている。
2Rの上限はMであり、あなたはより大きな数字を得たい。
最初に選んだ封筒から変更すべきだろうか。


答え「M/2以下の場合は交換し、それ以外では交換しない」
直感的にも十分理解できる範囲なので説明は省きます。

ここで実数としたのは、金額という自然数では最初に選んだ封筒の中身が奇数の場合必ず交換すべきという結論になってしまうためです。些事ですが本質とはズレた話を避けるためです。

ではもらえる金額に上限がなくなった場合、なぜ封筒を交換することのメリットがなくなるのでしょうか。

■もらえる金額に上限がない場合
2つの封筒には0よりも大きな実数(R、2R)が書かれた紙が入っている。
2Rの上限はない。
封筒を交換すべきか。


答え「どちらでも変わらない」

たしかに、封筒を交換することで期待値は1.25倍になります。
しかしここで(R、2R)のとる値を考えてみると、共に数直線上の全ての点に等しく(濃度0で)分布していることがわかります。上限が無限であるRと、その2倍の値になる2Rでは、どちらのほうがより大きくなるかという話をすることは出来ません。すなわち両者の期待値に差はないわけです。

問題を単純化すると、
(1)全ての正の実数から1つ選び、その数字が点数になる
(2)全ての正の実数から1つ選び、その2倍の数字が点数になる
どちらのほうがより多くの点数をもらえそうでしょうか。
計算するまでもないことですが、(1)・(2)どちらでももらえそうな点数は同じです。

以上のように考えると、封筒の中に入っている金額に上限がない場合、交換すれば期待値は確かに1.25倍になりますが、実際にもらえる金額には影響しないことがわかります。


このパラドックスは、金額という無意識に上限があると思い込んでいる実体を持つもののなかに、無限という概念がその姿を巧妙に隠しているところに原因があるように思います。「金額」という言葉を聞いた時点で、意識に上らないまでも人はどこかに上限を設け、計算された結果得られる期待値がそのままもらえるのだと捉えてしまうのではないでしょうか。これが上で書いた「回答者をミスリードする構成」です。論理的に導かれる矛盾ではなく、一般的な感覚からの乖離を突く逆説だと言えるでしょう。


追記:無限というのは直感的に捉えることが非常に難しい概念だと思います。例えば自然数と整数、偶数は同じ数だけ存在し、無限の2倍は無限と等しいと考えても全く問題がない。「1=2の証明」のところで取り上げた「1=0.99999.....の証明」などもこの考えの上に成り立っています。


追記2:錬金術に無限といって思い出したのが、ウロボロス(自らの尾をくわえた蛇)です。蛇が自分をしっぽから食べていったらどうなるのか。始まりと終わりが1つになった姿には不思議な感覚を覚えます。


関連項目:
>>テセウスの船
>>誕生日のパラドックス
>>抜き打ちテストのパラドックス
>>ベイズの定理
>>シュレディンガーの猫
>>3人の殺し屋問題
>>1秒
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