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前回の記事で近年における犯罪認知件数の動向、現状において犯罪の凶悪化は必ずしも進んでいないということをお話しました。

以上のような状況を踏まえた上で、発生した犯罪のうちどのくらいの割合が検挙されるのかを見ていきたいと思います。


 刑法犯認知件数、検挙件数、検挙率の推移
・法務省『犯罪白書』各年度より作成

上のグラフは刑法犯全体の認知件数、検挙件数、検挙率を示したものです。
近年目立つのは認知件数の増加に伴う検挙率の下落です。2000年以降は50%を割り込むことも珍しくありません。

数字をそのまま解釈すれば、増加する犯罪に警察の対応が追いつかないのが現状、ということになるでしょう。このデータから「犯罪の半分は見逃されている!」「日本は犯罪者天国だ!」と口角泡を飛ばして警察の無能さ、モラルの低下を騒ぎ立てるのが昨今のマスコミのトレンドのようです。

しかし前回の記事でも述べたように、統計が急激な変化を見せる場合は注意が必要です。単純に考えられる原因以外の要素が変化している可能性が大きいからです。ましてや人の行動を扱う場合、ある年から人々の性質が急に変わる(暴力的になる)という仮定は現実に即しているとはいえません。


この場合、検挙率の低下は認知件数の急増を反映したものだといえます。現に検挙件数を見るとほぼ横ばい、良心的な解釈をすれば長期的には微増といったところです。検挙率は検挙件数を認知件数で割った値なので、検挙件数が変化しない条件下では認知件数とは逆の動きを示します。

認知件数とは警察が被害の届出を受理して犯罪の発生を確認した件数です。そのため、警察の姿勢のあり方次第で簡単に変化する数字だといえます。

実際、警察の姿勢はある事件を契機に大きく転換しています。
それが99年10月におきた桶川ストーカー殺人事件です。

この事件では被害者の相談に対して十分な対応を行わなかった警察の姿勢が批判の対象となりました。この批判に応える形で、「相談業務の充実強化」(『警察安全相談業務に係る関係機関、団体との連携の推進について』(00年))を行うよう通達が出されたのです。「警察に持ち込まれる相談事案については、(中略)、その内容の如何にかかわらずすべて受理する」ようになったのです。

被害届を積極的に受理するようになったことに加えて、警察の取り扱う事案の内容についても変更がありました。『犯罪による被害の未然防止活動の徹底について』(00年)を見てみましょう。

「犯罪等による被害に遭った者はもとより、その不安を訴える者からの届出や相談を受けた場合において、たとえその時点で警察にとっては犯罪等によることが明らかでないもの又は家庭内におけるものであっても、(中略)、迅速かつ的確な捜査を行う」

ストーカーや家庭内の問題、金銭をめぐる人間関係のトラブルなどは、いままで民事不介入の原則によって敬遠されがちでした。それらの分野にも警察が相談の範囲を拡大したことがわかります。


以上のように、00年以降犯罪に対する警察の姿勢は大きく変化してきました。人々が急に暴力的になったという不自然な仮説を受け入れないのであれば、近年における認知件数の急増は、実際に犯罪が増加したというよりも、統計の取り方の変化にこそ原因が求められるべきではないでしょうか。
「(3)警察の検挙率の低下が治安悪化の一因となっている」とはいえないのが現状だと考えられるでしょう。


関連項目:
>>犯罪の凶悪化
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新年の挨拶が遅れて申し訳ないです。

年末にパソコンが壊れてしまったため3週間ほど昔の生活を送っていました。
いただいたコメントには少しずつお返事書いていきます。気長にお待ちください。
でもキーボードが変わったせいで打ちづらいこと。

今年もよろしくお願いします。
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