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前回の記事
>>ラプラスの悪魔 ラプラスの悪魔 2

全てを見通す知性を想定したラプラス自身は決定論者として有名でした。
全ての出来事は過去の出来事の結果であり、全ての原因と結果は因果律の関係に支配されている。過去→現在→未来 という時間の流れの中で全ての事象は発生する、という考え方です。

決定論を支える強固な柱がラプラスの悪魔でした。
ここでは未来の現象を原因として何らかの過去の事象が起こることはありません。かの悪魔を葬り去らない限り、全ての未来は決定していることになってしまいます。

以前からラプラスの悪魔に対する批判はありました。
情報処理速度の限界を取り上げた議論が有名です。たとえ彼が全ての原子の位置と運動を理解していても、1秒後の状態を予測するのに必要な計算に1秒以上の時間がかかる場合などでは未来を知ったことにはならない、という理論です。

そしてやはり、ラプラスの悪魔を葬る剣は同じ物理学の内部から生まれました。

ラプラスの死後、20世紀に入ってから量子力学が急速に台頭しました。
その中でハイゼンベルクの不確定性原理が発表されたのです。

不確定線原理とは、「ある2つの物理量(体積、質量、時間など)を同時に正確に測定することはできない」という考え方です。
特定の原子の位置と運動を同時に正確に測定することはできない、ということです。


量子力学が扱う極微の世界

この不確定性原理によりラプラスの悪魔は退治されました。
かの知性がどれだけ優れていても、位置と速度を同時に正確に観測することが出来ないのであれば、未来を予見することは出来ないからです。
こうしてニュートン力学以来世界を支配した古典的な因果律は否定され、全知の存在などないということがわかったのです。

しかし、ラプラスの悪魔は完全に死に絶えたわけではありませんでした。
量子力学では現在の主流であるコペンハーゲン解釈の他に、エヴェレット解釈という考え方があります。(コペンハーゲン解釈についてはシュレディンガーの猫を参照)

エヴェレット解釈では世界は細かく枝分かれしている=多世界解釈を採用しています。そこでは全てのイベントにおいてあらゆる世界が平行して存在することが考えられるため、ラプラスの悪魔が全てを知る世界もどこかに存在していることになります。
これがエヴェレット解釈と決定論、ラプラスの悪魔の関係です。
ラプラスの悪魔は形を変え、現在でも生き続けているのです。
(当然批判もありますが、ここでは省略します)

昔から人は全知の存在について思いをはせてきました。一般に「神」と呼ばれる存在です。
ラプラスの悪魔は、人が思い描いてきた神という存在の、1つの帰結だったのかもしれません。


追記:現在ベイズの定理として知られている事前・事後確率論は、もともとラプラスさんが体系化したそうです。なので以前扱ったモンティホール問題、三人の殺し屋問題とも深いかかわりを持つようです。
参照:>>モンティ・ホール問題
    >>ベイズの定理

↓をクリックすることもラプラスの悪魔はお見通しです↓
e_02.gif 

関連項目:
>>シュレディンガーの猫
>>自己認識
>>LUCA
>>1秒
>>宇宙の地平線
>>大きすぎて絶対に書き表せない数
>>トゲアリトゲナシトゲトゲ
>>インドの魔術師
>>クロニック・デジャヴ
>>テセウスの船
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RSSで読んでます。

こういう話を学校で学んだことはないのですが、個人的にはとても好きなのです。
とくに、「ラプラスの悪魔」というものを知ったときは感動したものです。
【2007/09/05 20:28】 - JJ #-[ 編集]
「決定論」とはまるで違う、怪しげな確率統計論に従うという量子力学の考え方に、あのアインシュタイン博士が反論して、「神はサイコロでは遊ばない!」と言った話は有名ですよね。それにしてもこういう話はたぶん難しくて、女性の読者は苦手かも~!?銀四郎は楽しく読ませていただきやした!
【2007/09/06 21:51】 - 銀四郎 #-[ 編集]
>JJさん
はじめまして&コメントありがとうございますe-466e-420
ガッコで習わないことに対しても興味を持つことは、とても大切なことなんだと思います。知りたいと思う気持ちは考える力につながります。少しでもそのお役に立てれば、管理人の本懐に尽きるといったところですe-247
今後もよろしくお願いしますe-75

>銀四郎さん
ホントにコメント見落としてましたe-263
コメント欄や最近の記事に「ラプラス」という文字がびっしりだったからでしょうかe-3

アインシュタイン博士は当初量子力学に反対していたようですね~。博士の鋭いツッコみによって量子力学が発展した、とも言われているようですからe-53
いまでこそ原子が確率的な動きでしか把握できないことは重要な前提になっていますが、発表された当初は決定論者のみならず、多くの人が反発を感じたのではないでしょか。「全能の神」を否定しかねない内容ですから。

私もよく感じることなのですが、こういう頭の中で理論を扱うタイプの話は、女性よりも男性のほうが興味を示す傾向があるように思います。いずれ脳の構造の話で触れるかもしれません。
【2007/09/07 12:12】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]
アレ?
男の読者でも苦手ですけど…(お前が単にプーなだけだと思うぞ

感覚的にはわかるんですが、
確実にとらえるところまではいってません。
というか今後も到達できる予定はないです…(申し訳ない

>世界は細かく枝分かれしている=多世界解釈
これは興味深いですね。
たまーにそう思うことってありますよね。(僕だけ?
そう考えると、
オリジナルの自分はどこに行くんでしょうか、
いや、全部オリジナルかな・・・

無限ループに突入して
ショートしそうです。
脳が溶解してきました。
【2007/09/09 09:00】 - 斜陽 #99DFA69w[ 編集]
>斜陽さん
かなり非直感的な話ですからねぇ。
「平行世界がある」なんていきなり言われても、納得しがたいものがあります。ただ、現代の物理学の最も大きな課題の一つである「統一理論」では、私達の世界とは別の「世界」の存在を示唆する証拠をいくつか見つけています。重力は実は別の次元から来るもんだとか云々。「30cmほど離れたところにあっても触れないもの。それが別の世界である」といわれています。目に見えぬものではありますが、夢のある話だと思いますe-420
ちなみに、どの世界にあっても全てがオリジナルです。極端な解釈では、1プランク秒(時間の最小単位)ごとに世界は分岐する、とも考えられているそうなのでe-251

いずれ統一理論の話で触れることになると思います。
小難しい話が続きますが、お暇な時に息抜きとしてでも読んでいただければ幸いです。
【2007/09/09 18:11】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]
今日見つけまして、早速ブックマークさせていただきました。

ラプラスの悪魔について面白い話を一つ。

ラプラスの悪魔は不確定性原理により否定されたため、未来を計算で導き出すことは出来ない訳ですが、不確定性原理では過去と未来を区別していないようです。よって未来が確定的でないように、過去も無数の可能性を持っている事が言えます。
これはラプラスの悪魔も同様で、仮に「ある時点における、宇宙にあるすべての粒子の位置とベクトルを測定する事が出来る」のならば、「これまで宇宙で起きたすべての現象を計算によって導きだす事が可能」なのです。

というような事を某SF作家が以下で書いています。
Q&A 12Q:「ラプラスの逆悪魔」って本当にある理論なのですか?
http://www.syoji-sc.com/reader/reader.html

作者はあくまでタイムパラドックスを回避するために捻り出した屁理屈と言っていますが、個人的には結構正しいんじゃないかと思っています。
『未来は観測不能なために不確定であり、過去は観測可能(記録や記憶等)であるためにある程度確定的である。』

長文、失礼致しました。
【2009/08/14 15:27】 - 考えない葦 #b.WXpARE[ 編集]














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