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前回の記事
>>ジキル博士とハイド氏

連続した記憶や意識などの同一性が失われているため、解離性同一性障害の人は別の誰か=交代人格の時の記憶を一切持っていません。交代人格の間の経験は大きな記憶の欠落としてしか残らないので、本人が別の人格の存在に気付いていないことも多々あります。

多重人格という言葉を世の中に広めた小説「ジキル博士とハイド氏」でもそうでした。
Strange Case of Dr Jekyll and Mr Hyde

善良な医師・ジキル博士は薬を飲むことによって非常に残虐なハイド氏に変身してしまいます。
この作品では人格の交代が薬物によって引き起こされている上、外見も変化してしまいます(ジキル博士は二枚目、ハイド氏は凶悪な顔)。そのため厳密な意味での解離性同一性障害ではないと考えることもできますが、英語で「Jekyll and Hyde」というと多重人格を指すまでになりました。

ちなみに薬物による影響というのは、酒が入ると性格が変わるとかです。これは解離でもなんでもなく、アルコールによる心的抑制の減少です。

解離性同一性障害は非常に特徴的な症状を示すため、昔から多くの人の興味を引いてきました。しかしその分、多くの誤解なども残っているようです。

かつて「人は時と場合によって全く違う態度をとる。だから全ての人は多重人格をもっている」と言った学者がいました。しかし性格の多面性と解離性同一性生涯は全く別のものです。自己同一性が保たれている人の性格の裏表と、完全に独立した人格を複数持つ人の間には大きな隔たりがあるわけです。
「飲んだ夜の記憶がない」とかいう声が聞こえてきそうですが、それも単なるアルコールの作用です。同一性の欠損ではありません。

またアメリカにおいて多重人格の診断が急激に増えた後、世界中でも似たような報告が相次いだという経緯があります。そのため診断基準のあいまいさによる誤診や、あまりにも特徴的な症状のため解離性同一性障害を演じている人が多いのでは、という推測がなされていました。

古くには憑依現象などの心霊現象として捉えられていた過去も、解離性同一障害の異常性・非現実性を強調することになってしまっています。主人格と全く異なる交代人格が現れるのはまさに「悪魔が乗り移った、キツネが憑いた」状態に見えることがあります。そのためどこかオカルト的な、現実には存在しない架空の病気だという認識も一部で広まっていました。

それでもたしかに、解離性同一性障害で苦しんでいる人は存在します。

かつて私の一番身近なところに境界性人格障害(DIDと名前は似ていますが、別物です)を患っている人がいました。私の知る「普通の人」とは異なる精神活動・行動をみせるその人を身近に置いてもなお、私の目には信じられない出来事として映っていました。

物理学者・ニュートンはこのように述べています。
「天体の運動はいくらでも計算できるが、人の気持ちはとても計算できない」
人の心は目に見えません。
自分で理解することすら難しく、ましてやそれを他人が推し量ることなどはさらに困難を極めることでしょう。それでも人は自分の肉体と、そこに宿る精神を抱えて生きていかねばなりません。
誰がこんなシステムを作ったのかは知りませんが、たまには恨みの1つも言ってやりたくなります。

解離性同一性障害1つ取ってみても、人の心の複雑さに深く考えさせられます。


関連項目:
>>テセウスの船
>>共感覚
>>自己認識
>>心の理論
>>ラプラスの悪魔
>>猫のオスカーのある一日
>>ドッペルゲンガー
>>クロニック・デジャヴ
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まぁくつさん、こんばんわーおじゃましまっす。

解離性同一性障害だと、ビリーミリガンもたしか同じ病気でしたよね。
なかなかそれぞれの人格が特異な能力や、言語を処理することができる。統合しないことによって、個々の能力が飛躍するというのは、実に興味深いことかと。
人間の精神は複雑で実におもしろいですよねー。

また、ふらふら覗かせてもらいます。
おじゃましました。
【2007/09/16 23:01】 - magatu #-[ 編集]
解離性同一性障害。
怖いですね。
ところで疑問に思ったんですけど。
>交代人格の間の経験は大きな記憶の欠落としてしか残らない
ということは、交代人格はいつも空っぽ(意志を持たない)の状態で行動するのか。
記憶が毎度毎度初期化されるということとは違うのか。
交代人格には性格があるのか。その性格は統一されているのか。
などなどです。
すごく興味がわいたので今度
ジキル博士とハイド氏をレンタルしてきたいと思います。(ぇ
【2007/09/17 09:26】 - 斜陽 #99DFA69w[ 編集]
>magatuさん
ミリガン事件は、解離性同一性障害に対しての世間の認識を方向付けてしまったように思います。かなりセンセーショナルの事件でしたから。ダニエル=キイスの書いた「24人のビリー・ミリガン」はいろんな意味で勉強になる本でした。

一人の体の中に年齢や国籍、性別すらも違う「人格(ここでは人間と呼んで差し支えないでしょう)」が宿る。人の精神の複雑さに興味は尽きません。

>斜陽さん
また私の言葉が足りなかったようですよ~e-249e-330

>>交代人格の間の経験は大きな記憶の欠落としてしか残らない
主人格(元々あった人格)から見ると、という言葉が抜けていました。交代人格の間の経験は、交代人格の中に蓄積されます。

>交代人格には性格があるのか。その性格は統一されているのか。
交代人格は、その名の通り独自の記憶や意思を持つ「人格」なので、主人格とは違う性格を持ち合わせています。もともとは主人格を守るため、辛いことがあった時点ごとに解離が起きるので、年齢、国籍、性別、仕事、性格、などには統一性が内容に思われます。「別の人間」と考えたほうが近いようですe-284e-267

解離性同一性障害を扱った日本の作品では、多島斗志之さんの「症例A」がおもしろかったですよ~e-247ちょうど斜陽さんと同い年くらいの少女が登場するので、とっつきやすいかもしれません。
【2007/09/19 08:08】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]














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