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以下のような話をよく耳にします。


(1)犯罪発生件数は増加傾向にある

(2)同時に犯罪の凶悪化も進んでいる

(3)増加する犯罪に対して、警察の検挙率の低下が治安悪化の一因になっている

(4)少年犯罪の増加及びその凶悪化が顕著である

(5)性犯罪者の再犯率は他の罪種に比べて高い水準にある


上に挙げたのはマスコミがよく伝える(一般的に信じられている)犯罪に対する認識です。
今後数回に分けてこれらが正しいのかどうか見ていきたいと思います。


まずは簡単な事実確認。


(1)犯罪発生件数は増加傾向にある … 「2002年まで増加、後減少傾向」

平成19年度『犯罪白書』より転載
刑法犯認知件数の推移4

平成19年度の犯罪白書によると、
・全体の犯罪認知数である刑法犯は約270万件(前年比-6.5%)
・自動車運転過失致死傷を除いた一般刑法犯は約190万件(同-6.9%)
・そこから窃盗を除いた一般刑法犯は約48万件(同-7.2%)
・「刑法犯の認知件数は平成14年に戦後最高を記録した後、5年連続で減少傾向にある」

まず目に付くのは、一般刑法犯の減少率のほうが刑法犯全体の減少率よりも大きいということです。これは交通事故以外の犯罪の減少幅が大きいということを示しています。
次にわかるのは交通事故以外の犯罪の約70%が窃盗だということです。そしてあとの2つの減少率の差を見ると、窃盗以上に他の罪種が大きく減少していると言えます。

参考までに罪種別発生率(07年度、10万人中)は以下のようになっています。
重要犯罪4種:殺人(1.0)、強盗(4.0)、強姦(1.5)、放火(1.4)
その他の犯罪:窃盗(1201.1)、器物損壊(152.5)、傷害(26.6)、交通関係(646.3)
犯罪の大部分は窃盗が占めています。


(2)中でも特に凶悪犯罪(殺人、強盗)が増加している … 「間違い」

犯罪発生率の推移
・人口10万人あたりの犯罪発生件数
・総務省統計局の「人口推計」、法務省「犯罪白書」各年度より作成

凶悪犯罪(殺人、強盗)と重要犯罪(+強姦、放火)の変化を示したのが上のグラフです。
犯罪全体の7割を占める窃盗の発生率が1200なので、絶対数の少なさが見て取れます。
また、殺人、強姦、放火は長期的に減少傾向にあるといえます。

そんな中、ぱっと目に付くのが近年における強盗の増加です。
これは犯罪の凶悪化の根拠としてよく挙げられます。他の重大犯罪の減少を補って余りあるほど、強盗の増加は犯罪の凶悪化に貢献しているという主張です。

しかし、統計が急激な変化を見せる場合、その裏側に注意しなければなりません。今回の場合も、97年あたりから強盗の認知件数が急増したのには理由があります。それが「強盗」の定義そのものが変更されたということです。

一般に強盗とは、銀行強盗のように実力を以って相手から財産を奪うことだと考えられています。しかし97年の変更以降、それまで「窃盗」+「傷害」と計上されていたものが「強盗」に分類されるようになったのです。ひったくりにあった際に転倒して怪我をしたケースなどが強盗として扱われるようになった、ということです。

実際に、97年以降増加した分のほぼ全てが「強盗致傷」です。逆に「強盗致死」は減少傾向、「強盗強姦」も横ばいといったところです。

もちろん、定義の変更はあっても実際に強盗自体が増加している可能性は考えられます。
しかし強盗の内訳を見てみると、上で挙げた「ひったくり+傷害」などの路上強盗が約4割、非侵入強盗全体の約半分を占めています。少し古いデータですが、平成15年の犯罪白書では以下のようになっています。

強盗の内訳

特に白書が「近年路上強盗の割合が急増している」と述べていることは注目に値します。非侵入強盗を除いた強盗の件数自体はさほど変化していないのに、路上強盗と認知されるものが急速に増加したのです。
強盗致傷のみの急増という事情を考え合わせると、定義の変更が「強盗」犯罪の増加に貢献しているといえるのではないでしょうか。

このように、強盗の認知件数が増加しているからといって、必ずしも犯罪全体の内容が凶悪化しているとはいえないことがわかりました。むしろ他の重要犯罪は減少傾向にあり、「犯罪の凶悪化」という言明は現在のところ不可能だといえます。


関連項目:
>>経済学的思考
>>三人の殺し屋問題
>>スーパーマン
>>心の理論
>>安楽椅子探偵
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・桶川ストーカー殺人以降警察が積極的に犯罪を認知せざるを得なくなったこと
・自転車盗の増加
この辺を突っ込むとより深い考察になるのでは…、と。犯罪が凶悪化しているとは言えないと言う結論には同意するんですけどね。
【2008/12/13 01:09】 - m #acNhVDpk[ 編集]
>mさん
ご指摘ありがとうございます。

・検挙件数は余罪をどこまで掘り下げるかによって大きく変動すること
・警察が相談業務を積極的に受理するようになったこと
=警察の姿勢の変化
・99年に起きた桶川ストーカー殺人事件における警察の対応への批判がその変化の一因になっていること
・横領=自転車盗の増加

これらを検挙率の低下の理由として次の記事で取り上げる予定です。誤っている点などがあったら教えていただければ幸いです。
【2008/12/13 23:16】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]
僕の個人的な意見では、簡単に言うと警察よりも法律が無能だと思うのです。
どういうことかというと、甘すぎるということですね。
今朝イランで目を失明させた罪として目を失明させられるという罰を加害者に与えるという判決が下されたそうです。
まさに目には目を。。。

まあそこまでいかないにしろ、法がなめられているというのは紛れもない事実だと思っています。
小学生時代に社会科のテストで「犯罪を減らすためにあなたならどうしますか?」という問いに僕は「刑罰を重くする」と書いたところ、先生が首を傾げていました(まあ○はもらえたのですが。)

方法はそれしかないと思うのですが・・・
【2008/12/19 22:15】 - ティガウッズ #-[ 編集]
>ティガウッズさん
刑罰の軽重と犯罪の増減に因果関係があるのか(これを犯罪抑止力といいます)。これは非常に難しい問題です。

例えば、おとなりの中国では窃盗(横領)、汚職にも死刑が適用されます(そりゃもうばんばん執行されてます)。が、日本よりもはるかに高い犯罪発生率が長年の課題になっています。

基本的に、「罰則がきついからちゃんとしよう」という意識の向上を望めるのは、私達一般の市民が絡む事案についてのみだけだと考えたほうがよいでしょう。スピード・駐車違反など、誰だって犯すことのある違反のことです。
重大な犯罪を犯す人はほとんど前後もわからないような精神状態の人が多いため(生まれ持っての脳の気質、育った環境の影響など)、厳罰化に相応の抑止力を期待できないことのほうが多いというのが現実だと考えられるのではないでしょうか。


まだブログでは公表していないのですが、私は来年法科大学院に進学して将来は法曹になる予定です。広く自分とは異なった考えを持つ人の意見も参考にしていきたいので、これからもよろしくです。
【2008/12/21 16:31】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]
確かに罰則を恐れて犯罪を犯さない、というのは根本から改善はされないですよね・・・。
まあもし罰則を重くするなら適度にということでしょうか。
中国のようにバンバン消してしまうのは極端ですね;;
それでも犯罪率が高いのはまだ国民の生活レベルが低く、欲求不満が多いからなのでしょうか?
あとは人口をとにかく減らしたいから?
まあこれは個人的な考えなので現地に行ってみないと本当のことはわかりませんが。
重大な犯罪を犯す人々の精神状態を見極めが大事ということなのでしょうか?ということは周りの人の手助けも大事なのかな?
素人には難しいですね、どうも考えが単純になってしまう!

法曹ですか~。僕の友達も弁護士になると言っている人がいます。これも素人の考えですが、自分の判断に常に自信を持っているべきなのでしょうか?
【2008/12/24 11:14】 - ティガウッズ #-[ 編集]
>ティガウッズさん
コメント返信遅れて申し訳ないです。

上のコメントで私が言いたかったことは2つです。
殺人などの重大な犯罪を起こすような人は、
(1)犯罪を決行した時点ではまともな精神状態じゃない
(2)脳の器質に問題を抱えている
このいずれかに当てはまる、ということです。

いずれの場合においても、死刑が抑止力になり得るはずはありませんよね?

このことは追って記事の中で扱っていきたいと思います。
ティガウッズさんのようにしっかり物を考え抜く力をお持ちの方がもっと多ければ、もう少し過ごしやすい世の中になるはずなのですがねえ…
【2009/02/04 17:32】 - まぁくつ #Ouk1KsT2[ 編集]














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