この前書いたバージェス動物群(旧称奇妙奇天烈生物群)の一つ、
アノマロカリス発見にまつわるお話です。
参照:>>
バージェス・モンスターアノマロカリスは古生代カンブリア紀の海に生息していた生き物です。体長は大きいもので2mを超え、同時代の生物のなかでは飛びぬけた巨体の持ち主でした。そのため当時の生態系の頂点に立つ肉食動物だったと考えられています。
カンブリア紀中に絶滅しているのでその系統ははっきりしていません。現在のどの動物群にも分類されない
プログレマティカだとも、後にウミサソリを経て節足動物の祖先になったとも言われています。(今月のNEWTONには「脚のある種類も確認されたため節足動物の祖先と考えるのが妥当」と書いてありました)
Anomalocaris

見た目上は現在のどの生き物にも似ていないですね。体節やひれを持っている点は環形動物や節足動物と似ているように思います。しかし環形動物にしては形状が複雑すぎる(環形動物=ミミズなど)、体節ごとに体腔が分かれていないなど、特定のグループに分類するには問題が多すぎます。そのため、今のところ
完全に孤立した独特の動物門(アノマロカリス類)に入れられています。
アノマロカリスは1892年、カナダのロッキー山脈で発見されました。化石はばらばらになっていたため、最初は付属肢(触手)の部分だけが発見されます。そして発見者は
触手の部分を独立した生物として論文に発表してしまいます。
アノマロカリスの触手

発見された触手はエビの一種と考えられ、
「アノマロカリス・カナデンシス=カナダの奇妙なエビ」という名前がつけられました。
最初のアノマロカリス「発見」から約20年後、今度は口の部分が見つかりました。触手は既にエビとして発表されていたので、当然口も独立した生き物として発表されます。口はめでたく
ペイトイアというクラゲの仲間になりました。
そして最後に発見された胴体部分は、いつのまにか
ラクガニア (Laggania) というナマコの仲間として発表されていました。
アノマロカリスの触手と口は硬い物質で出来ているため、体のほかの部分よりも数多く発見されます。そのため触手と口が単独で数多く見つかり、1つの生き物だと思われたわけです。
ある日、同じ地層から奇妙な化石が発見されます。ペイトイアの上にラクガニア=クラゲの上にナマコが乗っかった化石です。さらにナマコの横には葉っぱのような化石も見つかります。
「まぁこんなこともあるだろう」
ということで発掘は続きます。
すると今度はペイトイアの下にエビ=アノマロカリスがくっついていたのです。
ここではじめて、エビとクラゲとナマコが1つの生き物であることが判明しました。葉っぱのように見えたのは泳ぐためのひれでした。
この「アノマロカリスまるまる一体」を発見したのは、奇しくも口をペイトイアと名づけたウォルコットさんでした。どんな気分で「あれは同じ生き物だった」と発表したのでしょうか。
追記:当時の生き物たちは私たちの想像よりもはるかに自由な姿をしていました。現在でも「生物の一部なのはわかってるけど全体像は不明」という
SSF(微小硬骨格化石群)が大量に発見されています。古代の生き物を復元するのは、きっとパズルのような作業なのでしょう。いずれ触れたいと思います。
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関連項目:
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